2026年(令和8年)7月28日に熊本県熊本地方を震源とする最大震度7の地震が発生し、八代市をはじめとする地域で住宅被害等が発生しました。八代市では、ピーク時には63カ所の避難所に約4,100人が身を寄せ、避難生活が続く中、避難者の健康・栄養状態の悪化を防ぐための支援が必要となりました。このような状況を受け、公益社団法人日本栄養士会の災害支援チーム「JDA-DAT」の活動の一環として、高知県栄養士会から管理栄養士4名が派遣され、本学からも廣内が参加しました。
廣内はJDA-DATリーダーとして8月25日から29日まで熊本県に派遣され、26日から28日の3日間、八代市で支援活動を行いました。現地では、八代市役所を活動拠点として、八代市内の小・中学校やコミュニティセンターなどの避難所を巡回し、避難者の栄養・食生活支援を行いました。巡回では、糖尿病や慢性腎臓病、高血圧などの持病がある方、低栄養が心配される方、食物アレルギーのある方、乳幼児など、食事への配慮が必要な避難者の栄養状態や食事摂取状況を確認しました。また、避難所では、避難所運営にあたる自治体職員をはじめ、全国から派遣された災害支援ナース、JDAT(日本災害歯科支援チーム)、日本災害リハビリテーション支援協会(JRAT)、DPAT(災害派遣精神医療チーム)など、さまざまな災害支援チームと避難者の健康状態や支援に必要な情報を共有し、連携しながら支援にあたりました。
避難生活では、普段と同じ食事をとることが難しくなります。支援物資として食品が届いていても、持病による食事制限がある、硬いものが食べにくい、食欲が低下している、配給される食品が本人の嗜好に合わないなど、さまざまな理由から十分に食べられないことがあります。
今回の避難所巡回では、避難者一人ひとりに直接お話を伺い、体調や食欲、普段の食生活、食べやすさ、嗜好などを確認しながら、減塩食、やわらかい食品、白ご飯、野菜ジュース、幼児向け食品、アレルギー対応食品など、その方の状態に応じた食品を選び、提供しました。また、慢性腎臓病など食事管理が必要な方には、避難生活の中でも実践できる食事のとり方について助言を行いました。
活動を通して強く感じたのは、「食べ物があること」と「その人が食べられること」は同じではないということです。災害時には、食料を届けるだけでなく、避難者の健康状態や生活状況を確認し、その方が「何なら食べられるのか」「何を必要としているのか」を把握して支援につなげることが重要です。
また、避難所には多くの支援物資が届けられ、主食、副菜、栄養補助食品などが整理されていました。一方で、それらを必要としている方に適切に届けるためには、避難者の栄養上の課題を把握し、食品と人をつなぐ専門職の役割が必要であることも実感しました。
8月28日には八代市内の鏡コミュニティセンターを訪問し、炊き出しの状況についても確認しました。避難所における食事提供の実際を見ながら、災害時の食支援には、栄養面だけでなく、食べやすさや嗜好、生活環境などさまざまな視点が必要であることを改めて学びました。
今回の活動を通して、被災地の状況を自分の目で確認し、避難者の声を直接聞きながら支援することの重要性を改めて認識しました。今後は、この活動で得た学びを、本学における防災教育や管理栄養士養成教育に生かすとともに、地域における災害時の栄養支援体制の充実にもつなげていきたいと考えています。
2026年9月
高知学園大学 管理栄養学科
南海トラフ地震防災対策プロジェクトチームリーダー
廣内 智子
支援活動の様子
