
ヒト口腔内常在菌が関与する血小板を介した疾患発症機序の解明
- 所属
- 高知学園大学 健康科学部 臨床検査学科
- 専門領域
- 微生物学
- 関連情報

研究の目的
- 口腔内常在菌に対する抗体反応性の評価
- 抗体反応性の高い菌種による血小板への影響の評価
- 常在菌と宿主免疫の関係性を通じた疾患関連性の評価
どのようなことから研究を着想しましたか
これまでに、胃に感染するピロリ菌が免疫性血小板減少性紫斑病などの全身性疾患に関与することについて研究を行ってきました。この研究を通じて、口腔内の常在菌を含む微生物も血小板や免疫応答に影響を及ぼす可能性があるのではないかと考えるようになり、本研究を着想しました。この研究にはどのような面白さがありますか
日常的に無害とされてきた常在菌が、実は自己免疫や慢性炎症などの疾患に関与している可能性があるという点に、大きな興味と研究の広がりがあります。特に、免疫機能にも関与する側面をもつ血小板と、常在菌由来抗原との相互作用を明らかにすることは、新たな学術的知見をもたらす可能性があります。この研究でどのような成果が得られましたか
本研究では、口腔内常在菌と免疫応答の関係に関する手がかりが得られつつあります。特に抗体価の高い菌種が免疫応答に与える影響について一定の傾向が見られ、現在その詳細を解析中です。得られた知見は、常在菌と免疫の関係を考える上で新たな視点を提供する可能性があり、今後の学会や論文等で公表を予定しています。社会にはどのような貢献が期待できそうですか
これまでの研究により、日常的に共生している口腔内常在菌が、血小板を介して慢性炎症や自己免疫の発症に関与する可能性が示唆されています。これらの知見は、疾患リスクの評価や新たなバイオマーカーの発見、さらに予防的口腔ケアの重要性を支える科学的根拠となり、医療および公衆衛生分野への貢献が期待されます。大学の授業にもこの研究が関係していますか
この研究は、微生物学、免疫学、臨床検査学の内容と密接に関係しており、細菌の同定や抗原抗体反応、免疫系の機能評価といった内容は、実際に授業でも扱われています。学生にとっては、教科書の知識が実際の研究にどう応用されるかを学ぶ良い機会となり、卒業研究や探究学習にも直結する内容です。研究課題
科研費 基盤研究(C) 22K07489- 研究代表者:森本徳仁
- 2022年4月~2027年3月
この研究が関連する主要業績
- Morphological and Genetic Analysis of Diploscapter coronatus : Insights into Identification Challenges and Species Relationships. Norihito Morimoto, Yoshie Nishida, Masataka Korenaga. Laboratory Medicine International. In press.
- Helicobacter pylori関連免疫性血小板減少症におけるH. pylori外膜蛋白を用いた検査法の開発. 森本徳仁, 竹内啓晃, 西田愛恵, 森本みゆき, 上岡彩椰, 森田珠恵, 小倉克巳, 杉浦哲朗, 松村敬久. 臨床病理. 65 (11), 1169-1176. 2017.11.
公開日: 2025年6月 2日