
学校再編への応用を目指した中学運動部員の所属感を支援するセルフ・コンパッション
- 所属
- 高知学園大学 管理栄養学科
- 専門領域
- 教育心理学、発達心理学
- 関連情報
研究の目的
- セルフ・コンパッションの水準に応じた所属感と自己表現との関係の解明
- 部活動の地域展開による環境変化へ適応できる生徒支援の具体化
- 学校再編に向けて、生徒の不安を軽減し支援する方法の開発
どのようなことから研究を着想しましたか
集団活動では、人間関係の充実が大切になります。特に、決まった友達以外の仲間とも積極的に自己表現しあって、お互いに理解しあえる関係づくりが必要になることがわかってきました。ただし、全員に「自己表現しよう!」と強制してしまうと、自己表現が苦手な人は苦痛を感じることでしょう。そのような子どもたちを支援したいと思い、自分自身で安心させようとするセルフ・コンパッションの効果を着想しました。この研究にはどのような面白さがありますか
活発な人を見ると「元気そうだ!楽しそう」と感じます。それに比べて、おとなしい人を見ると「もっと楽しくできないかな?」と思ってしまいがちです。しかし、必ずしもアクティブにする必要はなく、目立たなくても満足できる状況を自分自身でつくる力があれば、それで十分な場合もあります。その結果、少しずつ自己表現もできるようになることが予想できます。子どもたちの内に秘めた思いを理解できるかもしれないと感じており、とてもワクワクしています。この研究でどのような成果が得られましたか
中学の運動部では、同じ目標に向かって部員同士が力を合わせながら活動しています。その過程で、お互いに信頼しあえる関係に発展することが理想的です。この研究はまだ進行中ですが、今のところ、もともと相互理解が難しい自己表現をしていても、自分自身を安心させることを心がけていれば、信頼関係を何とか維持できそうであることがわかってきました。焦って自己表現を求める前に、他の方法からも支援する大切さが導き出されたと思います。現在、多くの研究者と意見交換しながら、まとめているところです。社会にはどのような貢献が期待できそうですか
今の学校を取り巻く課題では、部活動の地域展開や学校再編など、環境の変化に関するものがあります。この研究では、環境が変化した時に生じる不安を緩和して、本人が力を発揮しやすくするために支援する方法を提供できると期待しています。大学の授業にもこの研究が関係していますか
このテーマは、あらゆる世代の社会性や人間関係の発達と関連します。したがって、教養・基礎科目の「心理学」、教職課程の「発達心理学」や「教育心理学」で学ぶ内容と深く関係します。なお、研究でわかったことが教科書へ掲載されるまでには時間がかかります。だからこそ、大学での学びには世間より一足先に広く深く学べる魅力があるといえます。研究課題
科研費 基盤研究(C) 23K02423- 研究代表者:吉村斉
- 2023年4月~2027年3月
この研究が関連する主要業績
- 現在進行中
公開日: 2025年9月 3日